スイスは、PIRANHA IV上の火砲モジュール(AGM)を選定することで、その砲兵能力を未来へと推進しています。これは、KNDS Deutschlandのドイツの革新と、General Dynamics European Land Systems(GDELS)が製造したPIRANHA IVプラットフォームを融合させた画期的なシステムです。これは、スイス軍にとって50年の歴史を持つM109システムに別れを告げ、高度な機動砲兵の新時代を迎える重要な前進を意味します。
砲兵設計における現代の驚異
PIRANHA IVプラットフォーム上のAGMは単なるアップグレードではなく、革命的な砲兵システムです。遠隔操作用に設計されたAGMは完全に無人で、自動装填機を備えており、弾薬とモジュラー推進薬を管理できます。その独自の「撃って移動する」能力により、移動中でも任意の位置から発射でき、戦場での反応性を大幅に向上させます。複数弾同時着弾(MRSI)技術により、AGMは正確で集中した火力を提供し、同時に複数の角度から目標を攻撃することができます。
PIRANHA IV: 機動性と戦術的精度の融合
多目的なPIRANHA IV 10×10シャーシに搭載されたAGMシステムは、火力と比類のない機動性を兼ね備えています。5軸、4輪操舵のデザインにより、車両は狭いスペースを移動でき、18.5メートル未満の旋回半径で、困難な地形でもスムーズに機能します。このシステムの高い自動化レベルと遠隔操作能力により、必要な人員が減少し、高リスクの任務中にスイス軍の兵士の危険を軽減します。
GDELS-Mowagのマネージングディレクター、ジュゼッペ・キラリは、プロジェクトの迅速な開発の重要性を強調し、PIRANHA IVのAGMのスイス生産を可能にしたコラボレーションを称賛しました。「私たちは、短期間でこのような革新的なシステムに貢献できたことを非常に誇りに思っており、スイスの生産拠点から国内顧客をサポートできることを嬉しく思います。PIRANHA IVのAGMは、ミッション実績のあるPIRANHAファミリーの最新メンバーであり、スイス軍の能力を大幅に向上させるでしょう」とキラリは述べました。
スイス及びその先を見据えた新たな砲兵基準の設定
GDELSのグローバルセールス担当副社長、トーマス・カウフマン博士は、AGMの能力を強調し、「火力、精密攻撃、機動性において比類のない性能」を持つことから、このシステムを「間接火力の分野における新たな基準」と表現しました。このモジュラー設計により、AGMはPIRANHAファミリー内のさまざまなプラットフォームに適応可能であり、世界中の武装勢力に対する魅力を高めます。
スイスが来年、議会に正式な調達要求を提出する準備を進める中、この国は次世代の砲兵力を展開する方向に近づいています。スイスにとって、この開発は単なる軍事能力の向上ではなく、現代戦の進化する環境においてその部隊の機動性、精度、安全性を確保することが重要です。